2008年5月28日水曜日

「卒業」を観ました。

サイモンとガーファンクルの曲に青春の空しさを感じながら、この映画を観ていました。

ストーリーは・・・・・・・

 東部の大学を優秀な成績で卒業したベンは、なじみのロビンソン夫人(アン・バンクロフト)の誘惑を受け、不倫関係となる。
やがて、帰郷中の幼なじみであるロビンソン夫人の娘エレン(キャサリン・ロス)と恋に陥るが、ベンと母との不倫を知った彼女は傷心の身でサンフランシスコの大学へ戻る。
エレンが自分のパートナーであることを自覚したベンは大学へ行き求婚するが、エレンは両親の策略で違う男性と結婚をすることになる。
教会で式を挙げている最中に、ベンはエレンを略奪して逃避行する。めでたし、めでたし。
 この映画のテーマは、「マザコン(マザー・コンプレックス)」だと言われている。
大学は卒業したけれど就職先も見つけられず、とりあえず自宅待機のたいくつな日々が始まる。水槽を泳ぐ魚が映し出されて、それを主人公が眺めているシーンが映画のテーマを物語っているようである。
その後、ロビンソン夫人の誘惑になすがまま不倫相手となるくだりは観ていておもしろい。 特に親からプレゼントされ、皆の前で無理やりアクアラング姿を披露させられることになり、プールの中にこもるシーンは滑稽というよりは、水槽の魚をオーバーラップさせるので何故か物悲しい。
 その水槽をひっくりかえしたような天気雨の中で、夫人から自分の娘との交際を断ち切るよう言われ、断ち切らないのであれば不倫関係を暴露すると脅される。ここから、「マザコン」との戦いが始まる。
主人公はその天気雨の中をエレンのところまで走り、夫人との関係を彼女に悟らせるシーンは実に切なくやりきれない。
そのときのエレンの「裏切られた」という表情と、雨なのか涙なのか理由はわからないが、黒いアイシャドウが頬を伝って流れ落ちていく夫人の哀れな表情とが忘れられない。
父親のクルマで大学へ戻る彼女の姿を遠くで眺めたり、彼女を追ってサンフランシスコまで愛車で走るシーンには名曲「スカボローフェア」が惜しみなく使われ、実に印象深いものとなっている。この映画のなかで一番好きなシーンである。
クライマックスの結婚式場の教会で、エレンの名を叫び続け、それに応えるかのように、「ベ~ン!」と叫びかえすシーンは何度見ても素敵だと思うし、「マザコン」を完全に打破し、教会の扉を十字架で封印して、路線バスに乗り込む姿に「良かった」と安堵する反面、二人はこの先どうなるのだろうかという不安も横切った。
観客のその安堵と不安というふたつの想いは、映画のなかの二人の表情にもあらわれていた。
続編が作られなかった分だけ、余計に「その後」が知りたくなるが、監督いわく「その後はご想像におまかせします」ということなのだろう。

 この映画は、音楽と映像を重ねた映画としても貴重です。サントラ「卒業」と「ミセス・ロビンソン」は、69年のグラミー賞を受賞。音楽も、ふたつの新曲は採用されませんでしたが、「サウンド・オブ・サイレンス」「スカボロ・フェア」など既存の曲が、映画のイメージを作るだけでなく、「プレジャー・マシン」のようにBGMを擬音として演出使用するなど、画期的なものでした。映画と音楽の一体化は、今では一般的ですが、映画「卒業」は、その元祖的存在といっても過言ではないでしょう。

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